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「明源寺」令和4年1月 明源寺 寺報『梵鐘』295号

更新日:2022年7月23日

 新年、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。今年から、明源寺は新しい一歩を踏み出して、動き出して行きます。それは、①昨年に住職として本山から正式に任命を受けたことと、②「明源寺ホームページ」を芸工大の学生さんの協力のおかげで、立ち上げることができたからです。「明源寺ホームページ」を立ち上げたことで、誰でもが明源寺の活動を見ることができ、また、誰もがいろんなメッセージを書き込むことができる場を設けました。これまで、この寺報は、ご門徒の方々と法要等で本堂に来られた方に配布しておりましたが、これからはご門徒に限らず、誰もが読むことができ、また、何かの相談等があれば、書き込むことができます。このような方針で、今年から、ご門徒に限らず、宗派宗教の枠を超えた活動をして行きたいと思っております。

 宗教活動の一つとして、十一月にzoomを使ってお寺からの発信を通しての村おこしを考え、お寺とは本来どうあるべきかとか、仏の教えの本質はどういうものであるかを発信しました。それによって、敷居が高いように思われていたお寺や仏の教えは、私たちが生きることに密着したものであるお話をしました。その場合、できるだけ難しい専門用語は使わず、仏教やお寺についての誤解を解き、現在、コロナ禍で生きることがなかなか大変な状況で、苦しんだり、困っていたり、ストレスを抱え、不安で心が押しつぶされそうになっている方々へ、何らかの支えになれないものかを念頭に置いて、お話をしました。仏の教えは、私たち人間の心の問題を説くものであるので、モヤモヤした自分の心を整理して、目に見えるように可視化するだけでも、「これは表面的な心であるからそんなに言うことを聞かなくてもいい」と分かり、「これは、自分が気が付いていないだけで、大切な心であるので、もっと楽しく、自由な、イキイキと出来る状況を増やして行くことで、無意識の内に軽く、力強くなる心が有る」旨のお話をしました。大事なことは、自分だけが生き詰るのではなく、人間、誰もが、生きている限り生き詰るものであり、それは人間が大脳を持っている限り、いろいろと考え、予定を立てていることで、その大脳の考えが生き詰って苦しんでいるのであり、決して、魂レベルの深い心は生き詰っていない旨のお話をしました。しかし、私たち人間は大脳を無くすことができないので、その表面的な大脳のはたらきから聞こえて来る声を軽くあしらい、気を付けながら生きることに慣れていません。私たち人間の心は、常に動き回り、休むことがありません。その自分の心が動き回ってばかりで、自己中心にものごとを考えては自分に都合の良い計画を立てていることをチェックしている自分の心も、実は動き回っている自己中心な心であるので、なかなか気が付きにくい構造になっています。分かり易く言えば、いつも動き回っているおサルの監視を、おサルが監視するのと同じことなのです。監視される側も、監視する側もおサルです。だから、おサルから進化した人間は完璧ではありません。成功して、うまく行っているようでも、すぐに調子に乗って、何かしでかします。人間は、所詮、おサルが少しマシになったようなもので、結局はおサルの延長にいます。人間は大脳がある限り、いろいろな予定を立てており、大脳の計画に従うならば生き詰るものなので、大脳ではない魂レベルのかすかな声に耳を傾けるべきなのです。

 人間は本質的に生き詰るように出来ていることを「無明」と言います。「無明」とは、自分で自分の心を知ることができない意味です。それは、人間である限りの身の事実です。しかし、人間は、その身の事実に気が付くことで、「無明」が「明」となります。「無明」のままが「明」であります。「無明」が変化して「明」となるのではありません。少しづつ立派になって「明」となるのではありません。生き詰りがそのまま「明」となり、おサルのままで仏となり、ピンチがチャンスとなります。この「明」は「無明」を離れて別な所にあるのではありません。「無明」は変化しません。「無明」は無くなりません。「無明」は「明」の自覚内容です。「無明」を「無明だなぁ」と知ることが、「明」なのです。「無明」なくして、「明」はありません。そのように自覚することを智慧と言います。この、詳しいお話は、寺報でも書きましたが、動画はユーチューブでも見ることができます。「仏教悩み事相談・自殺防止・明源寺・柏倉明裕」等で検索してみて下さい。明源寺は、これからご門徒に限らず、いろんな人が自由に出入りできるざっくばらんな場所であることを願っております。本年も、よろしくお願い申し上げます。                合掌


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