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「現代宗教事情」令和3年8月明源寺寺報『梵鐘』290号   


 現代、都会への人口流出が進んでいます。田舎では、若い人が少なくなり、家や田畑・山が荒れた状態になって、人々は自信を無くし、疲弊しています。田舎での同居率が下がり、お年寄りのみで生活している場合が多く、そうかと言って、若い人が田舎に帰って、そこに住むかと言えば、なかなかそうでない場合が多くなりつつあります。まして、その子供や孫となると、田舎の実家との関係が疎遠になり、都市と地方の差がますます広がっているのが現状です。

 また、今は新型コロナの終息が見えないので、ますます家族のみでの葬儀が増え、葬儀様態も一般会葬と家族葬の二部に分ける形式が定着化し、ご法事も家族だけで済ますようになって来ております。これはこれで、親戚との会食が無く、引き物の用意をしなくてよいことから「これもアリだな」「これも楽でいいな」ということで、将来、コロナを理由にだんだん楽な方へ、こじんまりした方へ進んで行くことでしょう。

 お坊さんは、お坊さんで「葬儀や法要はしっかりと勤めるべき」と頑張ったところで、お寺の敷居が高く、お坊さん自身が偉そうにしているならば、お寺で葬儀をしようとか、法要をしようという気になりません。今は、家族葬が増えたのだから、葬儀屋さんの高い会場を借りるよりは、お寺でこじんまりと葬儀をするのも良いと思います。火葬場への手配とかは葬儀屋さんにお願いするとして、何かにつけてお寺は「ああ、いいよ。」という気さくさが大事なのではないでしょうか。

 都会への人口流出が進むと、「田舎のお墓を“墓じまい”した方が良いのではないか」という話が持ち上がります。実家の親たちも、「子供や孫に田舎まで来てお墓掃除をさせるのは負担ではないか」ということで、「墓じまいをして永代供養に」ということになるでしょうし、都会の方でも「自分が死んだ場合、そのお骨はどうしたらいいものか」という問題も起こってきます。そこで、海への散骨とか、樹木葬ということを考えるみたいです。都会でお寺に葬儀のお願いをしたり、お骨の相談をしたりすることも、お寺の方が「檀家になってもらわないとしない」とか、何かにつけて高額なお金を請求されたりして、お寺に行くことは「こわい」というイメージがあるようです。お寺から離れる場合も、高額な離檀料を請求され、いろんなことでお寺はお金がかかり、大変だという意味で、お寺の敷居が高くなっています。

 明源寺は社会に捧げた、みなさまと共に歩むお寺として、何かお困りのことがあればそれにできるだけ寄り添って対応していきたいと思っています。第一、お金儲け主義ではありません。明源寺の門徒になれという勧誘は一切しません。お金の多少によって何らかの段階を設けることがなく、基本姿勢は「受け入れる」「何とかする」ことにあります。儀式作法もしっかりと行い、永代供養合祀墓も境内にあり春秋彼岸と盆正月は供養のお参りをします。金額について具体的にここで書くことはできませんが、けっこうお金はかかりません。そもそもお寺事業で儲けようとは全く思っていませんので。

 僕も、長い間、数年前まで都会に住んで感じたことですが、都会は家賃がかかり、家賃は収入が無くても払わなくてはならず、精神的につらかったです。まして、コロナで収入が減った人にとって、家賃を払うことは心を苦しめます。また、天候不順で野菜の価格が高騰したり、いろんなことで食べ物の価格が値上がりすると、家計に響き、自分ではどうすることもできない圧迫感があり、支配されている感じが常にありました。都会は消費しているだけで、自分の手で生み出すことが少なく、心の面で確かな安心や独立感・自立感がありませんでした。まして、災害時にはどうすることもできなくなります。

 しかし、山形の田舎で畑仕事をして思うのですが、野菜が高騰しようが、物価が上がろうが、食糧難になろうが、畑があることでいつでも食べる物があるし、山に行けば食べる物は何かあり、コロナ感染の恐怖も無いし、自粛生活を強いられた時でも、裏山からタラの芽を採って来てテンプラにして食べた味は格別でした。土に足を着けて生きていれば、災害時の食糧難でも乗り越えられ、田舎は人口がスカスカなのでコロナ感染のリスクが少なく、安心して、自分のペースで生活ができます。

 明源寺は、都会と田舎を結ぶお寺として、お骨や葬儀でお困りの方のお手伝いをし、地面に足を着け安心して生活ができる仲立ちをしたいと考えています。明源寺は、とにかく宗教難民を無くすことを目的とし、お困りの方に寄り添い、宗派宗教の枠を超え、教義の本質面でもぶれないように心掛けています。                      合掌



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